ROMANTICA~ロマンチカ~
泣きべそをかいている。手には可愛らしいブーケ。
 

「あのね、涼輔くんのおみまいにきたかったの。だけど、お部屋がわからなくって……」
 

「涼輔様?」


 
原島が涼輔の意思を確認するようにきいた。


 
「入ってもらっていいよ。原島は外して」


 
都季は、部屋の中で涼輔と二人きりになっても、まだ少し泣いていた。


 
「泣いてばかりじゃわからないぞ」

 
「涼輔くん、ごめんなさい……。あと、ありがとう……」

 
「カンチガイするなよ。別に君を助けたわけじゃない。

君がケガをすると、ブラッキィが保健所で始末される。彼は、僕の友達だから」
 

「あのね、おみまい。早く、良くなってください」
 


小さな手がブーケを差し出す。
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