ROMANTICA~ロマンチカ~
涼輔にとって、人間関係とは、常に勝つか負けるかだった。


勝敗以外には、何もなかった。


大勢の人間に囲まれていても、いつだって一人だった。
 

涼輔に取り入ろうとする人間は、腐るほどいる。


そういう連中を近づけ過ぎず、かと言ってビジネスに必要な最低限の関係は保つためには、冷たい近寄りがたさで自らを武装するしかなかった。

 
他人を拒絶することでしか、この世界との闘い方を涼輔は知らなかった。
 

思えば、原島にたきつけられたという理由があっても、タンカを切って出て行った都季を自ら探しに出た時点で、負けていた。
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