ROMANTICA~ロマンチカ~
置手紙には、さらに文章を書き、消しゴムで消した痕跡があった。
 
灯りに透かして見る。
 

「次に生まれた時、また涼輔さんに」

 
そこまでで切れている。
 

「あのバカ!」
 
今度は、無表情ではなかった。
 

――まさか、母親の後追い自殺でもするつもりか?!
 

氷室涼輔は、頭に来ていた。
 

まるで、怒りが「いやぁ、道が込んでてさぁ」などと言って、遅れて到着したようなものだった。
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