ROMANTICA~ロマンチカ~
「あの、バカ女! えい、クソ! ふざけやがって!」
 
思わず悪態が口をついて出る。
 

事件のことで、彼女が相当ショックを受けているだろうことは、容易に想像がついた。
 

だからと言って、自分一人だけで納得して、自殺などされては、涼輔の気が収まらない。


それでは、あまりにも自分勝手だ。

 
携帯電話を取ろうとして、やめた。
 

使いの者をやって、連れて来させても、仕方がない。


自ら締め上げてやらないと、この怒りは収まらない。
 

ギプスで固定された足の指を動かしてみる。

熱っぽく、重たい感じはするものの、

固定されているからか、あるいは痛み止めがきいているのだろう。

足そのものはさして痛まない。


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