ROMANTICA~ロマンチカ~
歯を食いしばり、針を抜くべく、注射針を固定するテープをはがそうとした所へ、音もなくスライド・ドアが開いた。
 
「!」
 
探偵の柳屋光だった。
 
「何の用だ?」
 
「良くないなぁ、勝手に点滴針を抜こうとする患者って。

嫌われるよ。

第一に、シロウトが自己判断で針を抜くのは何だかんだ言いつつ、危険だ。

第二に、その足でそこらをほっつき歩くのは、なんぼなんでも無理だ。

ケガ人はケガ人らしく大人しく寝ていた方がいい。

第三に」
 
ドアの向こうから荷物を担ぐように、都季を運び込む。

 
「彼女が心配する」
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