ROMANTICA~ロマンチカ~
「探偵屋」
 

クルリと踵を返した探偵の背に、涼輔が声をかけた。
 

「ありがとう」
 

探偵は、振り返らずに言った。
 


「なに、礼には及ばない。

僕は探偵だから。

……過去から現在へと連綿と続き、未来さえをもその巨大な黒い口の中に飲み込みつくそうとする、悪しき因縁を断ち切り、より良き未来を生産する。

それが、探偵の使命だ。

そして、僕の宿命でもある。

……なんて、ね」
 

背を向けたまま、片手を上げる。
 

「メリー・クリスマス!」
 

「メリー・クリスマス」 
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