ROMANTICA~ロマンチカ~
――涼輔さん、可哀想。足、痛くって、可哀想。
 

そう思いながら、あたしは涼輔さんの足下まではいずって行って、
 

「痛いの痛いの、飛んでいけー!」
 

ギプスをさすった。
 
「……」
 
涼輔さんは、何も言わない。
 
とても重い沈黙だった。
 
ハッと我に返る。
 

――子供じゃあるまいし、そんなのでごまかされるわけ、ないじゃん!
 

「あの、涼輔さん……?」
 
沈黙に耐え切れず声をかけると、
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