ROMANTICA~ロマンチカ~
――もう、涼輔さんってば……。
 

そういう人なんだよね。


あたしに気を使わせないように、そんなこと言って。


本当は、相手にすごく気を使っているのに、それを悟られないように、いつもサラッとした物言いだけど。


本人が、すこぶる繊細だから、できることなのかもしれない。


 
「……あたし、涼輔さんに酷いこと、たくさん言った」
 
「いいさ、たっぷり時間をかけて、仕返しさせてもらう。

本気で傷ついたのは、都季が病院からいなくなった、あの時だけ」
 
「クッキーだって、上手に作れない」
 
「使いやすい量りを買ってあげる。誰もが不完全だ」
 
「涼輔さんのこと、蹴った」
 
「今度はうまくよけるさ。都季」
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