ROMANTICA~ロマンチカ~
「あの、紅茶こぼれてますけど……」
 

千住都季嬢の指摘を受ける。


それで僕はようやく、紅茶がこぼれているのは僕のせいだっていうことに気づいた。
 



僕の名前は伊崎修(いさき・しゅう)。


二十七歳独身。


職業は物書き兼「ヤナギヤ探偵事務所」の秘書兼電話番兼お茶汲み兼探偵助手。



本当は文章を書くほうを本職にしたいのだが、売れない。

だから仕方なく、大学時代からの友人(腐れ縁とも言う)の事務所を手伝っては糊口(ここう)をしのいでいるわけだ。
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