ROMANTICA~ロマンチカ~
それにしても都季ちゃん、君のしたことは詐欺に近いと思うぞ。
 


かくして会話は冒頭の、
 


「チ、チキンレバー?!」
 


に戻るのである。



「ま、そのことは置いといて。あたしの婚約者を名乗っている男って、本当に冷たいヤツなのよ。ああいうのを冷血漢って言うんだと思うわ」
 


ボーゼンとなった後、


「ぶわっははは! ひーっひっひっひ! ヘソが茶をわかす! 腹がよじれる!」


という笑いの発作におちいり、未だにそれがおさまっていない探偵を尻目に都季ちゃんの身の上話が始まった。



「うーん……」
 

彼女の話を聞いて探偵はうなった。


 
交通事故死した会社経営者の母親(かなりのアマゾネスだったらしい)、

親戚や身近な人たちを差し置いて突然現れた「婚約者」、

「婚約者」による会社乗っ取り……。
 


――この話、何だかきな臭いな。
 


僕は思い、探偵の顔色をうかがった。

そして、嫌な予感が胸の中に芽生えるのを感じた。
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