ROMANTICA~ロマンチカ~
それにしたって、ヤナギヤは大層困った男なのだ。



柳屋光という人間は、色々な意味で困った男なのだが、彼の女好き(とりわけ処女は大好きらしい)は、数ある欠点の中でも、僕の中ではかなり上位に位置するものだった。


 
ヤナギヤは、しばしば困っている人(九十九パーセントは女性)を連れて来ては、タダで依頼を受けるのだ。



またそういう金にならない仕事に限って、僕まで調査に駆り出されなければならないような、こみいった事件だったりする。

そんな時、僕は非常に困る。
 


まぁ、女好き、処女好きのヤナギヤであるが、料金を取らない代わりに性的関係を強要したことは今までただの一度だってなかったし、これからもないだろう。


このことは、彼の名誉のために付け加えておくことにする。


ただし、相手からいいよってくる時には、その限りではないらしいが。

……だが、僕が知る限りでは、相手のほうからいいよってきたことは、ない。
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