ROMANTICA~ロマンチカ~

2.氷室邸にて

***

氷室家に着いてすぐ、この家の当主に会った。

氷室涼輔のパパだって。

初めてのご対面だ。



久しぶりロサンゼルスから帰国したのだ。



六時から息子と一緒にどこかの偉い人と会食した後、家には戻らず、トンボ返りじゃないけど、今度はロンドンに発つらしい。

さすが大企業の社長さんだ。多忙なのだ。
 


顔立ちは、氷室涼輔にあまり似ていない。



涼輔は、ぱっと見冷たい感じだ。

それに対して、このおじさんはラテン男を思わせるような明るくて、気さくで、フレンドリーな人だった。


だけど、仕草や身のこなしには、どことなく涼輔と似たものが感じられる。
 

パパの無二の親友というのは本当のことだったようだ。

あたしの顔を一目見ると、
 
「都季ちゃん、大きくなったねぇ。忠信(ただのぶ)君の若い頃にそっくりだ」


顔をほころばせ、抱きしめて(イヤラシイ意味じゃない。温かみのあるハグだった)歓迎してくれた。
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