ROMANTICA~ロマンチカ~
ママと住んでいた家は、木造モルタル塗り二階建ての5LDKだった。


それでも二人で暮らすには、贅沢(ぜいたく)かもしれないと思っていたくらいなのに。



この家は、まるでホテルだ。

落ちつかない。


一番落ちつく場所は、奥に積んであるダンボールの山だ。



いまだに荷物の整理をしていないあたしは、自分のダンボールだけは、お手伝いさんたちにもいじらないようにお願いしてあった。


「都季さま」という呼び方をされるのも、落ち着かない。

でも、トキなんていう、ある意味ババくさい名前は変えようがないから、しょうがないかも。
 
ダンボールをながめたら、ママがいたころの生活を思い出し、また少し泣けてきそうになった。
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