ROMANTICA~ロマンチカ~
「いいえ、先代の大旦那様、氷室正臣(ひむろ・まさおみ)元伯爵です。
涼輔様のおじい様にあたります。戦後最大の傑物の一人と言われた方です。
三年前にお亡くなりになりましたが。一〇二歳、まあ大往生と言っても差し支えのないお歳でしょう」
「まあ、そうですか。涼輔さんって、おじい様に良く似ていらっしゃいますねぇ」
そう言うと、原島さんは何だかとても嬉しそうだった。
(あ……)
このときあたしは、原島さんにたいしては、氷室涼輔のことを自然な感じで「涼輔さん」って呼んでる自分に気がついた。
自分のなかでは、まだ彼のことをそんな親しげに呼ぶことはできないのに。
――氷室涼輔と面と向かった時、あたしは彼のことを何て呼べばいいんだろう?
そんな思いが頭をよぎる。
涼輔様のおじい様にあたります。戦後最大の傑物の一人と言われた方です。
三年前にお亡くなりになりましたが。一〇二歳、まあ大往生と言っても差し支えのないお歳でしょう」
「まあ、そうですか。涼輔さんって、おじい様に良く似ていらっしゃいますねぇ」
そう言うと、原島さんは何だかとても嬉しそうだった。
(あ……)
このときあたしは、原島さんにたいしては、氷室涼輔のことを自然な感じで「涼輔さん」って呼んでる自分に気がついた。
自分のなかでは、まだ彼のことをそんな親しげに呼ぶことはできないのに。
――氷室涼輔と面と向かった時、あたしは彼のことを何て呼べばいいんだろう?
そんな思いが頭をよぎる。