現実は、変えられない

ある委員会の日


委員会が終わり、帰ろうとすると、
雨が降っていた。


いつもは、折り畳み傘を持っているのに
なぜか、今日は持っていなかった。


あきらめて、駅まで走って行こうと思って、
雨の中を走りだした瞬間

雨が傘に当たる音がして、
上を見ると傘が見えた。


「雨の中帰って
 風邪ひいたらどうするの?」

私は、ビックリして
声が聞こえた方を見ると
傘の中に私を入れてくれてい高橋君がいた。



高橋君は、歩き出そうとしたので、
私もついて行った。


雨に濡れない範囲で出来るだけ
離れようとしていたが、

全く会話がなくて、
私は、ずっとドキドキしていた。

駅に着き、傘から出た私は、
帰り道がいつもより長く感じた。


電車に乗ると、
結構混んでいて、
また高橋君と近くなってしまった。



駅に着くと、兄がいて、
お礼を言って別れた。

その後、少しの間高橋君の後ろ姿を見ていると、

「ついに、莉奈にも恋が始まったか」


そんな私をみて
兄が笑いながら言った。

恋って言葉に、少し顔が熱くなってきた。

あの日が、きっかけで
私たちの距離は一気に縮まった。







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