年下の不良くん《番外編》
「…んな事ねぇよ
いつもりりかは俺の一歩先にいる」
この間の麻衣達との喧嘩の時でも、血が昇ってた俺と違って、りりかは大人の対応をしていた
「俺はそんなお前に追い付きたくて、必死なんだよ…」
彼女の藍色の瞳が見れなくなって俺が視線を逸らすと、りりかは背中に回していた手に一層力を込めた
「私はそのままの清水くんが好きなの
だから、そんなに頑張らないでね
私はいつも清水くんの隣を歩いてるんだから」
こんな俺だから、きっとりりかは俺に愛想を尽かして離れていくだろう、と不安だった
常に人に否定され、不良だからと何かと決めつけられ、人から怖がられていた、俺
だけど、彼女はそんな俺でもいいと言って、優しい笑顔で受け止めてくれた
彼女が、目の前にいるりりかが、心から愛おしく感じてしまう
「ありがと
──好きだよ、りりか」
心から想いが溢れて普段なら言わない事を、自然と口にしていた
「…うん、ありがとう」
告白に慣れていないりりかは、赤くなった顔を隠すように俯いた
俺が大抵気持ちを伝えると出るこの癖は、毎回俺の心をくすぐらせる
ただもう、彼女の何もかもが、俺の気持ちを高ぶらせていたのだった