年下の不良くん《番外編》
細川結花
──最初から好きだった訳じゃない
最初はただ、痛々しく笑う彼を元気にしたいと思っただけなんだ
それ以外に何も求めてなかった
だから元気ずけようと、沢山遊びに誘ったし、連絡も頻繁にした
あたしの事を迷惑がって、ちょっとでも忘れられるなら、それでいいとさえも思った
ただ…ただ、それだけだったのに…
「結花ちゃん」
名前を幾度となく呼ばれ、彼の優しい部分に包まれていく度に、彼への想いは違うものへと変化していった
「しゃちょーさん…」
その変化したしゃちょーさんへの想いが、“恋"だと気付いたのはつい最近
気付きたくなかった…いや、目を背けていた…
だって、今の関係の方が楽だから…
あたしは彼の相談相手で、助言人
友達みたいな関係
しゃちょーさんはいつもあたしには、本音で話してくれて、それがあたしは嬉しいし、あたしも本音で語れる
気なんて使わなくていい
ただ、ひと時を何も考えずに笑いあえたらそれでいい…友達だから