年下の不良くん《番外編》


「──お前、それで後悔してないのか??」


話が終わってすぐの、口男の第一声がそれだった


「五分五分…」


「…まぁ、んなもんだろーよ、恋愛なんつーもんは
正しいとか間違ってたとか、んなの分かんねぇよな
目の前のことで必死なんだから」


そう言ってちょっぴり悲しそうに笑う口男だって、りりかに恋心を抱いていた


だけど、彼は結局最後まで告白ができないまま、りりかへの想いに終止符を打ったのだった


「うん…そうだよね…」


「だけど、後悔しないよーな恋愛しろ!!
てゆか俺、中学の頃もんな事言った覚えあるぞ」


「あたしの恋愛って、何でこんなんなんだろーね…」


りりかや優美みたいな恋がしたい


一人の人間を一途に想う、そして想ってもらえる


そんな恋愛がしたいのに、いつもあたしは気付かない間に、自ら悲しい恋を選んでしまっている


「馬鹿タレ!!
悲観的になんな!!」


ぽかっと頭をパンチされたあたしは、ひりひりと痛む頭を撫でた


「ちょっとー、殴ることないじゃん!!」


「ネガティブ発揮してっからだろー!!」


「だって〜…」


「あのなー、男って生き物は、今まで傍にいた奴が突然離れちまってから、そいつの偉大さに気づくような生き物なのっ!!」


「えー、意味わかんない」


「だあーもー、馬鹿だなー
だからな、もしかすると今頃やきもきしてっかもって事だよ」


「どうして??
しゃちょーさんはりりかが好きなんだよ??」



「んなのわっかんねぇよ??
人間なんて訳わからん生き物だし」



何だよ、口男のくせになんか哲学者みたいな発言する…


でも多分、これは口男なりにあたしを励ましてくれているから、少しきもいけど有り難く受け取っておこう



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