年下の不良くん《番外編》
キョロキョロと周囲を見渡して、確認してみるも口男の部屋でもない
………じゃあ、いったい誰の部屋なの…??
あたしはハンガーに自分のパーカーが掛けてあるの見つけると、駆け寄って中に入っているケータイを取り出した
記憶が無くなる前まで一緒だった口男が、ここが何処なのか知っているかもしれない、と思ったからだ
ケータイのホーム画面には、着信メールのアイコンがあり、あたしはそれを開けた
メールは口男からだった
「──嘘…そんなっ…」
口男のメールで、やっと自分が今置かれている状況がわかると、あたしは一目散に部屋のドアを開けて玄関を探す
階段を見つけると、一気に駆け降りる
──早く、早く、ここから出ていかないとっ…!!
階段を降りた先にはリビングがあった
その右側に玄関に繋がるであろうドアがあり、その取っ手を握り締めた瞬間──ぐぃっと手首を引っ張られた
「結花ちゃんっ!!」
2ヶ月ぶりに聞いたその人の声は、どこか少し震えていて、そのせいで胸がぎゅっと締め付けられる
「どうして逃げるの…??」
「しゃちょーさん…」
俯く前にぱっと見えた、しゃちょーさんの表情は、苦しそうに歪んでいた
「…もう…俺のことは嫌い…??」
……むしろ、それの反対…
だけどどうして、しゃちょーさん自らそんな発言をするの??
それじゃあまるで、あたしに気があるみたいじゃん…