年下の不良くん《番外編》


「こんな手段を取ってしまったことは、素直に謝るよ…
けど…もう、我慢出来ないんだ…
俺じゃない違う男といる君が…」



そう…昨日の夜、口男があたしを背負い、大通りを歩いていると、たまたましゃちょーさんと会ったらしい


しゃちょーさんは、代わりに自分が車で送ると言って、眠るあたしを車に乗せて消えていったと、さっきの口男のメールに書いてあった


だから、口男が心配している


…だから…早く帰らなきゃいけないのに…足が思うように動いてくれない…


「……てよ…」


「ん、何??」


「──やめてよっ…!!
好きでもないくせに優しくなんてしないでっ!!
そんな優しさなんていらないっ!!
欲しくないっ…!!」


あたしが欲しいのは、あたしだけを見てくれるしゃちょーさんなのっ…


他を見てるしゃちょーさんなんて、いらない…!!


叫び声にも似たあたしの苦しい気持ちは、閑散としている部屋に響いて、それが余計に悲しくさせた


「……もう、いいでしょ…
あたしはしゃちょーさんが思ってる程いい子でもなんでもない…
我が儘で身勝手で、まだまだ子供なの…」


…だから、苦しむ道から…貴方から逃げたの…



あたしは握り締められている手首を勢いよく離して、玄関へと歩き出す


「──わっ…!!」


けれど、反対の力で引っ張られて、バランスを崩した身体は、すっぽりと引っ張った本人に抱きしめられた


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