年下の不良くん《番外編》
「貴様もそんな所にいないで、早く上に来い
…細川、お前も無駄話をしていないで早く持ち場に戻れ」
「はっ、はいっ…!!」
お兄ちゃんは足をもたつかせながら、いそいそと仕事に戻って行った
「えっ、鉄の仮面さん、あたしも上に行ってもいいの??」
早く帰れと言われると思っていたあたしは、鉄の仮面さんの言葉を聞き返してしまう
「ああ、そうだ
でないと、こいつが使い物にならないからな
…ほら、ぐずぐずしていないで行くぞ」
戸惑うあたしを他所に、エレベーターに乗り込むものだから、あたしは急いでその後を着いていった
「──わ、やっぱ大きい…」
あたしは2度目の社長室に、広い室内をキョロキョロと歩き回り観察する
こんな所で仕事してるしゃちょーさんは、見た目は社長っぽく無くても社長なんだなぁ
「しゃちょーさん…ってしゃちょーさんは??」
3人で入ってきたにも関わらず、しゃちょーさんの姿が部屋にないので、仕事を再開した鉄の仮面さんに尋ねた
「彼奴(あいつ)は会議に出ていった」
「そっかぁ、忙しいんだね~」
再度チャレンジしようと、あたしはコーヒーメーカーで一人分のコーヒーを作り、出来上がったものを、鉄の仮面さんの元に置いた
「…何だ
不味いコーヒーを俺に飲めというのか??」
「ううん、今回は絶対美味しいから!!
自信ある!!」
「自信だけあっても意味ないぞ」
と言いつつも、一口飲んでくれる鉄の仮面さんって、やっぱり優しいと思う