年下の不良くん《番外編》


「…不味い
どうしてこんなに不味くなるんだ」


ぎろりと睨まれても、教わった通りにしたあたしにとって、睨まれる意味がわからない



「もういい、自分で作り直す」


ぐちぐち文句を垂れながらも、全部飲みきってくれた鉄の仮面さんは、自らコーヒーを作るために立ち上がる


「おい、貴様」


「あたしには結花って名前があります~」



「ふんっ、面倒くさい奴だ」


「へへっー、よく言われる~」


「彼奴と付き合ったのか??」


まさか鉄の仮面さんから、そんな話を持ち出されるとも思ってなかったので、一瞬びっくりしたが、彼の無表情の顔の裏には、心配の色が見られた


「うん、そうだよ」


「…やっとか
お前がのろまなせいで、俺がどれだけ彼奴の尻拭いをさせられたと思う??」


「え、えーと…ど、どれくらいでしょう…??」


普通は、人が付き合ったら祝福するものなのに、どうしてあたしは怒られてるの…??


「いつもの倍だぞ!!
お前からの連絡が来ないから始まり、嫌われたとか何とかかんとか…!!
仕事をしてきているのに、彼奴はそれを一行にしようとせずお前の話ばかりしてくる!!
苛々してしようがない!!」


「す、すみませんでした…??」


何で怒られてるのか分かんないけど、いちおう謝っておくことに…


「…春樹は一つ問題が起きれば、それが解決するまでその他諸々に危害を成す
一つの事しか考えられない奴だ
…だからこそ会社はここまで発展していっているが、あまり仕事には私情を挟んでほしくないのも事実だ」


「………………」



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