年下の不良くん《番外編》

「えー、どうだろう??
…でもね、やっぱり、しゃちょーさんとあたしって釣り合わないと思わない??
だって、社長と学生だよ??」


ずっと抱えていた不安を、笑って冗談みたく言うと、逆にデコピンが返ってきた


「いたっ…!!
ちょ、どうしてデコピンした…」


「馬鹿か
そんな事で釣り合わない等と決めつけるな」


「鉄の仮面さん…」


「彼奴は学生でも何でも、細川結花という女だから交際しようと思ったんだろ
…もっと自分に自信を持て、細川結花」


胸にじーんと響いた、鉄の仮面さんの言葉


一見、無表情で怖いと感じてしまう鉄の仮面さんだけれど、根は友達思いの優しい人


そんな鉄の仮面さんが、しゃちょーさんの幼馴染みで良かった


「へへっ…うんありがとう、鉄の仮面さん!!」



「…おい、そろそろその変なあだ名で俺を呼ぶのをやめろ」



満面目の笑みでお礼を言ったのに、鉄の仮面さんはガンを飛ばしてくる


「えー、どうしてー、なかなか良いあだ名だと思うよー
…若干、あだ名が長すぎて呼びづらいけど…」


「ほらみろ、やめろ
今すぐにやめろ」


そんなに嫌がられるので、新しいあだ名を唸りながら考えた


「あっ!!
じゃあ、鉄ちゃんでいいじゃん!!
鉄の仮面さんだから、鉄ちゃん!!」


ナイスだ、あたし


だって、“爽さん”ならりりかと被るし、かといって彼の名字を知らないので、名字も呼べない


というか、皆が呼んでいる呼び方で、目の前の鉄の仮面を呼ぶのは、勿体ないと思う


せっかく、無表情っていうチャームポイントがあるんだから



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