年下の不良くん《番外編》
「お前、俺の事馬鹿にしてるだろう…」
かつかつと大きな足音を立てて、近寄ってきたと思えば、あたしの頭をぐりぐりとグーで殴る
「いたっ、痛いってっ…!!」
「馬鹿にしたお前が…」
「──何やってるのかな??」
鉄ちゃんの言葉を遮ったのは、顔は笑ってるけど、目が笑ってないしゃちょーさんだった
「えっ!?いやっ別に何も…」
「何もしていない」
何事も無かったかのように、鉄ちゃんは自分のいるべき場所に戻ってしまい、その場に取り残されたあたしは、非常に気まずい
「へぇ~…その割には楽しそうだったけど…??」
しばらくの間、無言で睨みあう二人を、あたしはおろおろとしながら見守る
「…はぁ、わかったからあんな事でいちいち俺に突っかかるな
面倒くさい」
「…もういいだろ
今日の仕事は終わったから、俺は帰る」
「えっ??
ちょっとしゃちょーさん?!」
それだけ鉄ちゃんに告げると、しゃちょーさんはあたしも道連れにして、社長室を出ていき自家用車を発進させる
小さくなっていく会社を見送り、ちらりと運転するしゃちょーさんに視線をやるが、あちらはあたしを気にする訳もなく、無言で運転を続ける
どうして不機嫌なのか分からないまま、運転を邪魔しないようにと、あたしも何も口を開くことをし無かった