年下の不良くん《番外編》
「──あ、あのっ、ちょっとしゃちょーさんっ…!?」
腕を引っ張られながら着いたのは、しゃちょーさんの自宅だった
家に入るなりドアに押し付けられて、両腕を顔の横に置いてがっちりガードされる
「…ねぇ、爽と何してたの」
「えっ??
何って…しゃちょーさんの話…??」
それだけで、どうしてしゃちょーさんが不機嫌なのかが気になって、仕方がない
「…俺の??」
「うんそう、しゃちょーさんのお仕事の話とか、まぁいろいろ…って近いよっ…!!」
距離があまりないのに、より短くしようとするから、あたしの顔は茹でタコみたいに真っ赤だ
「…本当にそれだけ??」
「うんっ、勿論っ…!!」
だけど、間近で見るしゃちょーさんの端正な顔に、こんな時でもきゅんきゅんしてしまうあたしって、やっぱり重症だと思う
「はぁ…良かった…」
急に深い溜め息を吐いたかと思うと、そのままあたしの方にしゃちょーさんの頭がこつんと置かれた
「えっ?!ちょ、ちょっとしゃちょーさん!?」
今の状況に着いていけなくて、一人でてんぱってしまう
「……君は出逢った頃から爽と仲が良かったから、いつも不安になる…
今日だってホントは二人きりにだなんて、させたくなかった…」
「しゃちょーさん…」
しゃちょーさんが苦しそうな声を出しているのに、あたしはヤキモチを妬いてくれた事が嬉しくって、にやにや
「結花ちゃんのことになると自信ない…」
「…そんなのあたしもだよ」
こんな完璧なしゃちょーさんでも、自信が無くなる時があるんだ…