年下の不良くん《番外編》


───…………



「──田口くーん!!」


「おお!!岡本じゃねぇか!!」


中学を卒業して2年が経った


今日は久々の部活が休みだから、男友達と遊びに都心まで来ている


ちょうど集合場所の駅の出口で待っていると、背後から名前を呼ばれて振り代えれば、好きな人が満面の笑みで立っていた



「久しぶりだねっ!!
元気にしてた??」


「おお、ちょーぴんぴんしてるよ
…今日はデートか??」


優しく笑う彼女の隣には、対称的に不機嫌な顔をした不良がいて、きっと俺をきつく睨む


「うん、そうなの」


「そうか…」


──卒業式のあの日、俺は結局、岡本に告白が出来なかった


しようとは思っていた…でも、タイミングばかりを気にして、無理だった…


そのまま高校に上がり部活が忙しくなると、連絡も次第に取り合う事も少なくなり、会うことも無くなった


2週間前くらい前に遊びにきていた武蔵から、岡本が付き合っていることを聞いて、激しく動揺してしまった


…でも同時に、とても近くにいたのに、何も出来なかった己が嫌いになった


「あ、紹介忘れてたね
優美の双子のお兄ちゃんの、田口優眞くん」


「よろしくな、清水くん」


「はっ??どうして名前…」


「ああ、武蔵からついこの間聞いたんだよ
あいつはマジでお喋りマシーンだからな」


俺が冗談まかせに言えば、くしゃりと不機嫌だった顔を崩して笑う、岡本の彼氏


「ははっ、確かに」


どんな奴だろうと思ってたが、きっと岡本が選ぶ男だから、いい奴なんだろうな



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