年下の不良くん《番外編》
「田口~!!お前待ち合わせの場所ちげぇよ…って何してんだ??」
今日一緒に遊ぶ友達がやって来て、俺の首に腕を回してから、やっと岡本達に気づく
「あ、じゃあ私達はそろそろ行くよ
またね、田口くん」
「ああ、うんまたな
…仲良くしろよ??」
「ふふっ、ありがと」
小さくなっていく岡本を見つめる
“もし、あの隣が俺だったら──”って何度も思ったけれど、俺では不似合いだな
岡本を幸せに出来るのは、清水翔だけなんだろう
じゃあ無かったら、岡本があんな笑顔を見せなやしない
「なんだよお前、じーっと見つめちゃって!!
…ひょっとしてお前…好きなのか?!」
「………ああ、“好きだった”よ」
───そう、好きだったんだ
臆病者の俺は最後まで自分の想いを伝えられずに、無理矢理、自分の気持ちを心の奥深くに封印して諦めた
苦しかったけど…でも、それで良かったと思う
きっと伝えてしまったら、こんな風に街中で会っても、声なんてかけてもらえなかった
あんなに長く隣にいても、俺は彼女にとって友達でしか見られなかったという事が、既に告白の答えだ
それに…彼女の隣は俺より、清水翔の方があってるよ
「はっ!?えっ!?
お前好きな奴いたの?!
つーかさっきの子?!」
「はいはい、うっせぇよ
遊びに行くんだろ??」
「お前何話変えてんだよ!!
詳しく話せよっ!!
…かー!!そうか!!
お前が告って来た女をことごとく振るのはそう言う事だったんだな!!
俺はてっきりお前は女が嫌いなんだとばかり…!!」
「はぁ!?」
「よしっ、合コンでもしよう!!
いい女紹介してやっから!!」
「いらねぇよ!!
…やっぱり、ちょっと間は部活に専念してぇんだよ」
岡本よりもいい人を探すのは、今の俺には無理だから、もう少し、自分の気持ちの整理がついてからにでもしよう
──幸せになれよ、岡本!!
───終───