年下の不良くん《番外編》


座敷に着くと、相変わらず父は縁側で経済新聞を見ていて、お義母さんは本を読んでいた


「ただいま、お義母さん」


「まあ、やっと帰ってきたのね
もうまだかまだかと待ちどうしかったのよ」


「ご無沙汰してます、お義母さん」


「翔くんも元気そうで良かったわ
瑠璃ちゃんは少し大きくなったわね」


蒼汰くんが昔使っていたベビーベッドに瑠璃を寝かしつけると、背中を向けて座っているお父さんの隣に腰かけた


「あ、また居なくなったと思ったら、じいじのとこにいたんだね」


経済新聞を読んでいる父の膝の上には、じいじ大好きな海鈴がちょこんと既に座っていた

「うん!!だってじいじすきだもん!!」


「ふふっ、そっか
…お父さん、ただいま」



「…ああ、お帰り」


「瑠璃の服、送ってくれてありがとう
助かったよ」


いつも子供の為に沢山の玩具や服を送ってくれる、お父さん


お義母さんの名前で送られてくるけど、字がほとんどお父さんの物だから、誰が送ってきてくれるなんて一目でわかる



「…私は送ってないぞ」


「ふふっ、うん、そうだね」


お父さんのこういった素直じゃないところも、まだまだ健在だ



「じいじ~、“じ”ばっかみてないであそんでよー」


字もまだ読めないのに一緒になって経済新聞を読んでいた海鈴だが、しびれをきらして父の膝の上で暴れる


「おい、膝の上で暴れるな
痛いぞ」


「じゃー、あそんでよー!!
れんじゃーごっこしよ!!
おれはれど(レッド)だから、じいじはわるものね!!」


子供用のサンダルを履いて庭に出た海鈴は、お父さんの手をとって誘う



お父さんはいつも怖い顔をしているが、孫には弱いので嫌々ながらも引き受ける


「………一回だけだぞ」



──ほらね??


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