年下の不良くん《番外編》

そのやり取りをしばらくした見ていたお父さんは、饅頭を一つ頬張り翔くんに話しかける


「おい、翔」


結婚する少し前から、お父さんがちゃんと翔くんの名前を呼ぶようになったのだが、今でも違和感を覚えてしまうのは、私だけだろうか…


「はい、何スか??」



「………仕事は順調なのか??」


「ええまあ、良くやってます」



後から本人から聞いた話なんだが、翔くんが大学を進学すると決めたのは、私と結婚する為だったらしい


その為には良い会社に就職し、父に自分を認めさせる必要があったので、大学にいったと聞いた


結果、翔くんは見事に会社に就職し、今ではサラリーマンとして、家族を守る為に頑張ってくれている


「そうか、それなら問題ない」


こうして口ではとやかく言うお父さんが、翔くんの事を心配しているのが伝わる


一見、父は家族を顧みず仕事一筋の人に見えるが、本当は心の底では家族の事を一番に考えてくれている人


そんな父だから、家族の皆は父の事が大好きなんだろうなぁ


納得した父は二つ目の饅頭を口にいれて、じいじっ子の海鈴を膝に、絵本を読み始めた
  


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