年下の不良くん《番外編》

清水翔



りりかが珍しく風邪をひいた



休日の時の俺よりも起きてくるのが遅かったので、様子を見に行くと熱でダウンしていた


ここ数日、割りときつい咳を繰り返していたから、心配はしていたのだが…


「大丈夫か??」


「ん、何とか…」


「お粥作ってくるからちょっと寝てろ
できたら起こしてやっから」


「ありがと…」


力なく笑うりりかを寝室に残して、お粥を作るためキッチンへ向かうと、海鈴も一緒についてきた


「まま、びょーき??」


海鈴はりりかそっくりの顔を悲しそうに染めて、母親の事を心配して聞いてきた


「病気じゃねぇけど、風邪だな」


海鈴と同じ位置まで腰を下げて、ぽんぽんと頭を撫でて安心させる


「どうしたらげんきなる??」


「んー、そうだなぁ
…飯食って沢山寝て、薬飲んだら元気になる」



「わかった!!
じゃあおれも、ままがはやくげんきなるようにする!!」


「お??海鈴も手伝ってくれんのか??」


「あたりまえだろ!!」


ふんっと威張る海鈴は、幼稚園では有名やんちゃ坊主だ


そこんとこは小さい頃の俺にそっくりで、りりかに頭が上がらない…


料理する時は危ないので、海鈴には味見をするのだけ手伝ってもらい、さっさと寝込んでいるりりかのもとに運んだ


「りりか、お粥出来たぞ」


「ん…ありがとう翔くん」



「一口でもいいから食えよ??
薬飲めねぇから」


「ふふっ、大丈夫だよ
インフルエンザじゃないから、食欲はあるよ」



合掌をしてちゃんと飯を食うりりかを見て、少しだけほっとする


「子供達は何してるの??」


「海鈴が瑠璃の世話してくれてる」


「ふふっ、そっか
海鈴はお兄ちゃんだもんね」



りりかに薬を飲ませて寝かせ、寒くないように布団を口許までかけた



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