隣人警報ー甘い囁きにご注意をー
男の子に優しくされるのが、昔から苦手だった。
だから、強がってばっかりで。
綾音みたいに可愛くないから
上手に甘えるなんて嫌だった。
『こういうときは、素直に甘えてればいいの。』
亮ーーー。
知り合って間もないのに、何でこんなことが言えるかな。
なんで、私はドキドキしちゃうのかな。
「奏、
学校出られるのはあの正門だけ⁇」
「あ、裏門あるけど
あそこ普段は誰も通らないよ⁇」
裏門なら、
女の子たちもいないだろうけど…
「ん、じゃ帰ろ」
「えっ…」
さっき右腕を引かれたみたいに
右手を引かれる。
「ちょ…手っ」
「こうしてた方があったかいし。」
亮の手は、ちょっと大きくて暖かい。
寒空の屋上が、ちょっとだけ熱を帯びた気がした。