隣人警報ー甘い囁きにご注意をー
「裏門ね…」
「だから言ったでしょ?
普段、誰も通らないって」
大きな桜の木の下に
ツルが生い茂る西洋風の門がある
さびれてて、開くのかはわからない
亮が門に手をかけたとき
“にゃー”
1匹の子猫が亮の足元に擦り寄る。
「可愛いー!」
子猫は亮に遊んでもらいたくて
じゃれている。
でも亮は
硬直したまま動かない。
亮、動物苦手なのかな⁇
こんなに可愛いのに。
「君は何て言う種類の猫なのかな⁇」
亮の足元にしゃがみこんで、猫を見る。
耳がぴょこんと折れていて
ほっぺがぷにぷに。
検索しようと鞄から携帯を出そうとすると、亮がくちを開いた。
「スコ。
スコティッシュ・フォールド」
ん?
「あとさ、奏、撫で方違う」
「え、あっ!ごめん」
「背中じゃなくて、首元撫でてみて。
すっげぇ嬉しそうにするから」
ん⁇
抱きかかえてますよね、猫を。
しかも嬉しそうに。
亮の顔に自然と笑顔がほころんでる。
「あれ⁇亮、動物苦手なんじゃ…」
「はぁ⁇俺いつそんなこと言った⁇」
「だってさっきまで固まってたじゃん!
苦手なんじゃないの?」
亮⁇
言葉が返ってこない。
顔をあげて、亮の顔を見ると
あれ?赤いーーー⁇
「…可愛すぎて、言葉出なかった!!
悪いか⁇」
「えっ」
「笑えば⁇俺みたいなのが、猫可愛いとか言うの…笑えるでしょ⁇」
そっか…
照れてるんだ。
「別に笑わないよ!
その…意外っていうか。」
「意外⁇
でも俺ん家、実家が動物病院だから」
「えっ、すごいよ!」
おうちが病院とか…
やっぱり亮も
獣医師さんになるのかな⁇
亮がふっと笑う。
「そんなの初めて言われた。」