隣人警報ー甘い囁きにご注意をー
先生「血液検査の結果は異常無しです。
ワクチン接種も終わりました。」
にこにこしながら、獣医さんが診察室から出てくる。
先生「いやー、びっくりしたよ。
亮くん、こっち帰ってきたんだね。」
「お久しぶりです。本田先生」
あ、知り合いの病院なんだ。
先生「昔もさ、こんなことあったよね。
あの時は…うさぎだったかな⁇」
「よく覚えてますね。
雨の日の河川敷で濡れてました。」
2人の昔話は盛り上がる。
私は、猫と一緒に、ぽつんと取り残された気分。
私の知らない亮がいる。
そんなの当たり前じゃん。
まだ知り合って間もないのにーーー。
でも、知りたいって思うんだよ。
何故かわかんないけど…
「奏、帰るよ」
「えっ、あ…はい」
ぼんやりしてた。
今何時かな⁇
時計を見ると20時30分を過ぎたところ。
猫を抱きかかえると
「そ、そーやって、
抱きかかえてあげるの。正解。」
亮がくしゃっと笑う。
ーーーあれ⁇
この顔、知ってる気がする。
**
冬の20時台の空は真っ暗。
街灯がなければ
こんな道怖くて通れないな。
「すげーよな、本田先生。」
「…うん」
さっきから亮は、
本田先生の話ばかり。
私は、猫を撫でながら、
足元ばかりを見ていた。
「先生の家、
本当に動物園みたいなんだよなー」
「…うん」
「…ねぇ」
「…うん」
「さみしい⁇」
「…うん」
「…あのさ、」
「…うん」
「キスしていい⁇」
「…うん」
…ん⁇あれ⁇
ちょ…