隣人警報ー甘い囁きにご注意をー







先生「血液検査の結果は異常無しです。
ワクチン接種も終わりました。」


にこにこしながら、獣医さんが診察室から出てくる。


先生「いやー、びっくりしたよ。
亮くん、こっち帰ってきたんだね。」


「お久しぶりです。本田先生」



あ、知り合いの病院なんだ。



先生「昔もさ、こんなことあったよね。
あの時は…うさぎだったかな⁇」


「よく覚えてますね。
雨の日の河川敷で濡れてました。」




2人の昔話は盛り上がる。

私は、猫と一緒に、ぽつんと取り残された気分。






私の知らない亮がいる。


そんなの当たり前じゃん。

まだ知り合って間もないのにーーー。








でも、知りたいって思うんだよ。


何故かわかんないけど…













「奏、帰るよ」




「えっ、あ…はい」




ぼんやりしてた。

今何時かな⁇





時計を見ると20時30分を過ぎたところ。







猫を抱きかかえると





「そ、そーやって、
抱きかかえてあげるの。正解。」


亮がくしゃっと笑う。






ーーーあれ⁇


この顔、知ってる気がする。







**





冬の20時台の空は真っ暗。



街灯がなければ
こんな道怖くて通れないな。









「すげーよな、本田先生。」


「…うん」


さっきから亮は、
本田先生の話ばかり。







私は、猫を撫でながら、
足元ばかりを見ていた。



「先生の家、
本当に動物園みたいなんだよなー」


「…うん」












「…ねぇ」

「…うん」





「さみしい⁇」

「…うん」





「…あのさ、」

「…うん」






「キスしていい⁇」

「…うん」





…ん⁇あれ⁇


ちょ…





























< 13 / 21 >

この作品をシェア

pagetop