隣人警報ー甘い囁きにご注意をー
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亮が顔を寄せる。
反射で思わず目をつぶってしまった。
「…んっ」
ーーーぺちっ!
「痛っ!」
おでこに鈍い痛みが走る。
「バカ、本当にすると思ったんだ。」
「…さいてー。」
「奏が話テキトーに流すから
からかってみた。」
考え事してたのに。
亮のことで
さっきの笑顔が頭から離れない。
猫を撫でながらもずーっと考えてた。
「お前、単細胞だな」
単細胞、いや、私は多細胞生物のはず。
「…でもっ!」
「ん?なに⁇」
「デコピンは反則だと思う…」
デコピンの不意打ちほど
痛いものはない。
しかもおでこのど真ん中!!
「…本当あきれる。」
「え?」
何?私、なんかまずいこと言った?
「奏、彼氏いたことないでしょ。」
「今のデコピンと関係ないよ。」
彼氏いたことない。とはっきり言ったら
バカにされるんだろうな…
「男慣れしてないの、バレバレ」
「…むかつくね、亮って」
「…目は、閉じてたよね。
本当はしてほしかったとか?」
顔を覗きこむようにして、亮が唇を近づける。
からかうならいい加減にして。
どーせ亮と私は、
経験値違うとか言い出すんでしょ⁇
意味わかんない。
私の中指と親指は彼の前にあった。
ーーーぺちん!
「…亮、さいてー」