隣人警報ー甘い囁きにご注意をー
ぬくもり




**







「ねぇ、
なんで私と亮が一緒に屋上にいるの⁈
しかも放課後に」



こんなとこクラスの人に見つかったら
かなりまずい。


「しょうがないだろ?
俺だって奏と居たくているわけじゃないんだしさ」



亮が転校してきて1週間。





手短に話せば


亮がイケメンということで
クラスいや、学年、学校中の女の子が
亮を一目見ようと追っかけている。

そして、
たまたま日直で居残りしていた私が
放課後まで追っかけ回されていた亮と
最悪にも廊下で会い、
「かくまって」と頼まれて、屋上まで連れてきた。

「ねぇ、いつまでここにいるつもり⁇
もうそろそろ帰ろうよ。」

「バカ。見ろよあれ」


何よ、またバカって言った。

不満が募るまま、フェンス越しから亮の指差した方を見た。


「うわっ⁈何あれ!」

正門には、多分亮を追っかけていた人たちが、立ちはだかっている。

「校内探しても見つかんないから、帰り道塞ぐってか。」

ふーっ、とついた溜息が、白く染まる。

そっか、もう12月だもんね。

教室は、暖房ついてて暖かいけど、屋上は雪が降るような寒さになっていた。

私、こんな寒いときに何し…

「…くしゅんっっ!!」

途端に亮が私を見る。

うわ、くしゃみしちゃった。
しかもおじさんみたいな変な声出たし…
バカにされるーーー。

「寒いんだったら、早く言えよ。バカ」

「えっ…」

いきなり、視界が真っ暗になる。

「着とけば?」

亮のブレザーを投げてきた。

ちょっと大きい、
まだ真新しいブレザー。


「でも、亮が寒いでしょ⁇
セーターだけじゃ風邪ひく。」

ブレザーを突き返そうと右腕を出すと、亮が腕を引いた。

「こういうときは、素直に甘えてればいいの。」

亮の低い声が、耳元をくすぐる。
そのまま溶けてしまうくらいーーー。


顔の火照りを隠そうと、亮のブレザーを
頭から着る。


こんな顔見られちゃったら恥ずかしい。



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