ナムストーンPART2

天狗岳5

『なにかあったんだ?』
オサムは胸騒ぎを感じた。

石をライトにかざしてみると黒ずんで見える。
輝いていれば暗がりでも鮮やかに見えるのに。

『急がなければ』
オサムは大至急峠を下り古知平に向かった。

大蛙が何匹も飛び掛ってくる。何か行く手を
さえぎってでもいるかのようだ。

やっと古知平に着いた。
『キーツはどこだ?キーツ?』
平原の中央に人が倒れているのがすぐに分かった。

キーツが頭から血を流して倒れている。
キーツはすぐに気がついた。

後頭部をいきなり殴られたものの
幸いに傷は浅い。どうもツキノワグマらしい。
二人は車に欠け乗り大原へと急いだ。

昼間は土産品店や観光客で人通りも多いが、
三千院の山門はこの門前町を上り詰めた

頂上付近にあって、山門前には土産屋が
一軒あるだけで意外と閑散としている。

周りは浅い崖になっていてもみじの大木の間を
竹の柵がしてあるだけだ。

夜は真っ暗で何も見えない、ちょっと危険だ。
懐中電灯がなければまったく一歩も進めない
ほど真っ暗なのだ。

やはりケムンはいない。車のライトを
つけっぱなしにして回りを探すと思ったとおり
ケムンは崖下に落ちてうめいていた。

竹の柵がそこだけ切れていてこちら側から照らすと
暗闇に道があるように見える。これは危険だ。

ケムンは何の疑いもなくその道に足を踏み込み
あるはずの道がなくて落下したのだ。

右手にはしっかりとライトを握ってはいたが
灯は消えていた。幸いかすり傷だけで元気だ。
3人は車に駆け乗り鞍馬へ急行した。

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