ナムストーンPART2

送り火1

8月16日いよいよ運命の日の朝が来た。
今晩宇宙と接触できるかもしれない。

なんとしても成功したい。5人は徹底して
1時間祈りに祈った。

さあ出発だ。東山の右大文字から松ヶ崎の妙法
西加茂の舟形金閣寺北山の左大文字、そして
愛宕山鳥居本。

東から北山すそを西山にかけて移動する。
空中ポイントは京都中央ホテルの真上700m、
角度は45度。レッツゴー!

まず右大文字。ワゴンを銀閣寺の参道裏に止めて
山道を15分ほど登ると大の字の整然とした
点火台の広場に出る。

薪を用意していっせいに火をつけるのだ。
昔は銀閣寺門前町の若衆が大勢集合して火を
点したそうだが、今ではほとんどがボランティアだ。

点火は町の人がやる。石油をしみこませた75基の
薪の先端にいっせいに火をつけるのだ。

30分間火が消えないように火を点し続ける
大変な作業だ。標高が一番高いのはこの東山の
右大文字でやく400m。

あとは200mそこそこで地上からはほとんど見えない。
5箇所を一度に見ることは不可能だ。
そう、空中からでない限り。
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