二重恋愛
二次会をしようと言うみんなを断り、菊男と花衣は先に二人で帰ることにした。

「行かなくていいの?二次会?」

「だりぃじゃん。カラオケの途中で帰ろうかと思ったし」

「そのわりにはももこと楽しそうに話してたけど?」

「何お前、妬いてんの?」

菊男にまじまじと顔を見られ花衣の頬は少し赤く染まる。

「んな訳ないじゃん」

彼女は赤面した顔を見られないように下を向いた。

「顔真っ赤ですけど?」

菊男はいなずらな顔で彼女の顔を覗き込む。

花衣は彼を軽く睨みつけ早足で歩き始めた。

すると菊男はいきなり花衣の手を掴みその場に引き止めた。

突然手を掴まれ一瞬ドキっとする花衣。

何?

微かに胸の鼓動が高鳴る。

「原チャリここ」

なんだぁ…

びっくりした~

なんで菊男にドキドキしなくちゃいけないのっ

花衣は無言のまま彼の後ろへと座り原チャリは走り出した。

花衣の家の前に着き玄関へ向かう彼女に菊男が声を掛ける。

「ノブはやめとけよ」

「何?やきもち?」

「アホか。誰がお前なんかに妬くか」

菊男はそう言い残し原チャリで走り去って行った。

「ムカつく~」

彼女は呟きながら小さくなっていく菊男の姿を見つめていた。
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