★恋は曲者ッ★
アタシは思わず
奏多君の制服裾を
引っ張っていた。
「かぁッ…帰られッへんっ…ぅぇッぐ」
こんな真っ暗な中
1人になんて
なったことないアタシ。
なんせ暗闇は大嫌い!!
しかも全然知らん道やし…
あまり夢中になって
暗闇の中を走っていたことに
今ごろ気付いたほど。
アタシの目からは
次々涙が出てくる。
情けない…
非っ常に情けない…
「な!?なんで泣くねん!?」
そら困るやんね…
でも…
「うっ、暗いのっ、ほんまに…うぇっぐ、怖いっ、ひっく…」
「はぁ!?今までついて来てたやん!」
ほんまなんなんやこの女!?
泣き落とし作戦か!?
それにしちゃ
ヒドすぎやな…
暗くてはっきりとは
見えなかったけど
佐原とやらの顔は
たぶん涙やら鼻水やらで
グジャグジャだ。
少しばかり惨めに思った俺。
「…んじゃ、送ってくよ。その前に俺んちすぐそこだから…ちょっと着替えてもええか?」