★恋は曲者ッ★
暗い夜道を2人の足音が
コツコツと重なる。
なんか…
この空気は一体…
無言で歩くアタシたち。
ちゃっかり右手には
奏多君の裾がおさまってる。
不意に奏多君が立ち止まった。
そのせいでアタシは
奏多君の広い背中に
鼻をムニッと押し付けてしまった。
「着いたで」
「うっわ、ボッロ~」
アタシは目の前の建物に対して
一言感想を述べた。
こんなにボロい建物は
この世に存在するのだろうか。
と思うくらいの
酷いアパート。
怪しげなツタは生え放題。
壁のコンクリートは
ほとんどが剥がれ落ちていて
下にはそのコンクリートの
瓦礫と、草がボーボー。
「はは…正直やこと。ま、正直な奴は嫌いじゃないよ。どぞ、あがって」
階段をのぼり
アタシは部屋へと案内された。