★恋は曲者ッ★
それからアタシたちは奏多君の家を出た。
張り詰めた空気。
アタシは奏多くんの少し後ろで
会話のないまま足を進める。
ボランティア?
そんなこと思ってないし!!
でも…
奏多君の言ったことが正しいのかもしれない。
アタシはただ、自分の思うままにしたかったのかも。
奏多君の背中をじっと見つめるけれど
彼は振り向いてはくれない。
15分ほど歩き続けて
やっと見覚えのある道にでた。
「奏多君?…アタシこっから1人で帰るわ」
「暗いの怖いんじゃなかったの?」
まだその口調は冷たいままだった。
「…大丈夫。もう知ってる道だから」
ほんとはこれっぽっちも大丈夫なんかじゃない。
でも、こんな空気から早く抜け出したいという思いのほうが強かった。
「家まで送る」
一切表情を変えない奏多君にアタシは言った。
「いい。今日はどうもおおきに。じゃあね」
アタシは震える足を無理やり動かし
立ち止まる奏多君にお礼を言って走った。