月華.
部屋は殺風景で、ただたくさんの紙の山と硯や墨があるだけだった。
藍子は終始、脅えていた。
何せ、この部屋にもといた土方という男。
あの顔を見れば、本物の鬼だって泣き出すだろう。
それを我慢している藍子は偉い。
藍子は私の手をずっと握っていた。
「さあ、座って下さい」
彼が言う。
私はとりあえず、一応の礼儀として「失礼します」とだけ告げた。
私の少し後に、藍子は座った。
場所は私の斜め後ろ。
前には土方という男。
その横に彼が座った。
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