冬桜 −二度咲くモノ-
この苦しみを一生私は忘れないでいよう。


人、一人の人生を、鈴菜という大切な命を背負って生きて行くからね。


そう心の中で誓い、鈴菜の側を離れた。



全身が小刻みに震えていた。


だけど、ちゃんと言わないとね。


「鈴菜を、宜しくお願いします。」

と自分でも驚くほどしっかりとした声で言えた。



手術室の中に姿が見えなくなると、そのまま崩れ落ちた。


震える体を、自分でギュッと抱きしめていた。
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