冬桜 −二度咲くモノ-
タイミングを見計らって、黒服が話しかける。

「蘭さん、よろしいですか?」


「ええ。すぐに行きます。」

と黒服に伝え、藤川に

「すみません、藤川さん。失礼します。これ、本当にありがとうございます。大切にします。」

と、申し訳なさそうな顔を作り席を立とうとする。


すると、

「今日はプレゼントをあげたかっただけだから、もう帰るよ。」


よしっ!たまには空気読めるじゃないか!と、心でガッツポーズがでるくらい喜びつつ、残念そうな顔を作り玄関まで見送りに行く。


帰り際、ネックレスを見るのにかこつけて、私の首周りを触ってきた。


殴りたくなる気持ちを我慢しながらタクシーに乗せ、見えなくなるまで見送って、そのまま裏口から店に戻った。
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