歪み
あの日から止まってしまったあたし。
けど世界は止まってなんかくれないから
何かが足りなくてでもそれもわからなくて。

皆で一緒に行こうと言った高校。
何の悪戯か紅梨だけ落ちて。
紅梨と向き合えなかったあたし。
ねぇ紅梨、今何処にいるの?

メールアドレスも電話番号も変わって
繋がりが絶えてしまった。
決意を込めて家に向かったら
そこは既に貸家となっていた。

ぼそっと紅梨が言ってた
“最近、両親がおかしくてさ”
そんな信号にも気付いてあげられなかったあたしは
友達として最低。
親友だなんてよくも言えたものだ。
拓にも真実は言えなくて。

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