歪み
「…知らねーよ、そんなの。
俺が知りたいくらいだよ」
照れたようにそっぽを向く。
それは本当なの嘘なの?
「本気で人を好きになったことないんでしょ」
「…あぁ」
どうして全然目を合わせてくれないの。
そんなことされると不安になる。
仕方ない、か。
あたしだって普段壁を作ってるしね。
知りたい、なんてあたしが勝手に思ってるだけで
佐野有からしたら迷惑なのかも。
いつからなんだろう。
いつの間にか沈黙に緊張しなくなった。
あたしこそ、
何で佐野有何だろう…。