歪み
04
ばくばくなる心臓に自分でも驚く。
こんな感情、久しぶり過ぎて。
よっぽど死んだみたいに生きてたんだあたし。
何だか少し光が見えたようで。
それは良いことなのかな…。
だめだ。
やっぱり佐野有の前で冷静を保てない。
佐野有の表情に揺れ動いてしまう。
冷たい目、空っぽな目、光を放つ目…
どれが本当の貴方なの?
それとも全てが貴方なの?
拓…か。
好きじゃないのは本当なのに。
どうしてだろう。
突き放したくせに友達に戻りたいあたしがいる。
欲張りだな。
罰が当たりそうで怖い。
「真柚?帰ったの?
どうしたの今日は早いじゃない」
「あ、ただいま。
お母さんこそ今日はどうしたの?
遅くなるって言ってなかった?」
「あぁ早く帰れたのよ」