歪み
「ね、真柚」
「何?」
「速水君ってさ本当に真柚の幼馴染みなの?」
「そうだけど…何で?」
何故か拓の話題になると胸がざわつく。
ゆずから返ってくる返事が怖くて
そわそわしながら待つ。
わかってる。本当は。
それを人に言われるのが怖いだけ。
「こないだね、
っていっても先週くらいなんだけど
有と速水君が昇降口で話してて。
他に全然人もいなくて。
なんか変な雰囲気だから引き返そうと思ったら
真柚に関わんなって言ったよなって速水君が
言ったのが聞こえたの。
気になっちゃってちらっと二人を見たら
二人で睨み合ってて怖くて
慌てて引き返したんだよね」
嫌な予感が現実を帯びていく。
いつまでも逃げてたら
また同じことを繰り返してしまう。
でも、もう二度と大切な人を失いたくない。
やっぱり怖いよ。
離れていってほしくないの。