歪み
あっという間に車に乗り込みもう引き返せない。
最初っから逃げられないのはわかってたけど。
「真柚、拓君とどうなの?」
「え、どういう意味?」
突然、どうしたんだろう。
今までであたしの友達関係には
一切触れてこなかったのに。
「ずっとあんたたち両想いなんだと思ってたよ。
ま、そうじゃないみたいだけど」
え、気付いてたんだ…。
何だか複雑。
「両想いなんかじゃないよ。
拓はずっと幼馴染み。
家族みたいなものだよ」
さらっと嘘を吐くあたしを少し後ろめたく思う。
もしかしたら嘘だってバレてるのかな。
そう考えると自分が馬鹿みたいに思えて仕方ない。