歪み
02
「拓…佐野君に何か言ったんでしょ?」
一緒拓がひるんだ、ように見えた。
「あたしが言える立場じゃないのはわかってる。
でも佐野君は関係ない。
佐野君に言うのは間違ってるよ」
「…そんなに大事かよ、あいつが」
怖いと思った。
今まであたし拓の何を見てきたんだろう。
それとも、
拓が見せてなかったのかな。
「拓が大事じゃないわけじゃないよ」
「ずっと馬鹿みたいに
優しい理解者でいろっていうわけ?」
答えられなかった。
いや、拓の言っていることに否定出来なかった。
結局あたしは
好きになったくせに何もせず卑怯な事して
紅梨を苦しめ、
拓を利用して慰めてもらって
佐野君が好きになったから拓を捨てた。
そうとしか言い様がない…。
どこまで最低なの。